『 歳末 ! ― (3) ― 』
「 ここ かなあ・・・ 」
ジョーは メモとスマホをみつつ とあるビルの前に立ち止まった。
「 え〜〜と? あ プレート でてる〜〜〜 」
わん・にゃん はうす ― 犬・猫保護シェルター ―
ビルの一階に小さなプレートが見つかった。
「 ここだ ここだ。 え〜と ・・・? ああ この階段、降りるのか 」
彼は数段、おりるとドアの脇にあるチャイムを押した。
避難場所? と びっくり顔のジョーに フランソワーズは少し息とついから
ゆっくり説明を始めた。
「 避難場所 というより 保護施設ね 」
「 保護施設? 」
「 ええ。 里親さんを探すワンちゃんや猫さんのお家よ。 」
「 ふ〜ん ・・・ 動物の孤児院 かあ ・・・ 」
「 え? 」
「 あ え〜と そこでボランティアを探してるって ? 」
「 そうなの〜〜〜 そこではね ボランティアさん達が ワンちゃんたちの
世話のお手伝いをしているのですって。 」
「 あ〜 そうなんだ? 」
「 それがね〜 いつものボランティアさんがね インフルエンザになっちゃって・・・
急に人手が必要なんですって 」
「 そりゃ大変だねえ 〜 で なにをすればいいのかな ・・・ぼくに
できるかなあ 」
「 あのね ・・・ え〜〜と ・・・ ワンちゃんやら猫ちゃんの食器洗いと
ワンちゃんのお散歩。 ですって 」
「 あ〜〜 それなら大丈夫。 ぼく 得意だからね。
いいよ ウチの掃除も < 万能るんば > に任せられるし 」
「 ありがとう ジョー〜〜 あ それでねえ 猫さんの遊び相手も できる? 」
「 できるさあ〜〜 ぼく、動物とちょ〜〜〜 仲良し って知ってるだろ? 」
「 それは安心しているわ。 じゃ おねがいしてもいい? 」
「 もっちろ〜〜ん☆ あ 今から 行こうか ? 」
「 いいの? あ お昼 しっかり食べて行って!
ジョーの好きなピザ・サンド 熱々にするから
」
「 わい〜〜(^^♪ ピザ・サンド〜〜〜 フランの、めっちゃうま〜〜〜 」
「 ふふ ありがと。 熱々たべて ボランティア がんばってね 」
「 りょうかい〜〜〜 手 洗ってくる〜〜 」
ジョーは口笛吹きつつ バス・ルームにゆきご機嫌ちゃんで ランチを平らげ
かる〜〜〜い足取りで ボランティアにでかけた。
「 あ〜〜〜 ボランティアさん? はじめまして〜〜〜 」
ドアの向こうから 中年の女性が元気よく出てきた。
「 あ し しまむらといいます よろしくです〜 」
「 島村くん、ね。 どうぞ宜しく。 ワタシ タナカです。 」
「 よろしくです〜 」
ぎゅ。 差し出された手を軽く握ったら しっかり握り返された。
女性にしては大きな手、多少 荒れていたけ 温かだった。
「 あ ・・・ は ・・・ いいなあ ・・・ 」
「 はい? 」
「 い いえ ・・・ あのう ぼくはなにを ・・・ 」
「 うん その前にね ここのコ達を紹介するわね 」
「 あ はい 」
「 こっち〜〜 まずは 靴を消毒してくれる? 」
「 はい え・・・っと 」
彼はスニーカーに消毒スプレーをすると 隣の部屋に案内されていった。
「 ・・・ うわ〜〜〜お〜〜〜
」
ちょっとばかり自信をもっていたジョーをシェルターで待っていたのは
100にゃん に近いにゃんこさん達と 散歩したくてうずうずしてる
10匹のわんこだった!
「 う わ ・・・ いっぱい いる・・・ 」
「 ね〜たくさん いるでしょう? 」
「 は はい 」
「 皆ね 捨てられたり保護されたり いろいろ事情があってウチに来たの。
新しい家族が見つかるまでウチで快適い過ごして欲しいな〜って思っています。」
「 ・・・ ! そ そうなんですか ・・・ やあ こんにちは
」
ジョーは 一番手近のケージにいた茶白の猫に挨拶をした。
「 ・・・・ 」
にゃんこは 金色の瞳でじ〜〜っとジョーを見つめている。
! この目 ・・・ よく知ってる!
・・・ ここのコは ぼく だ ・・・・
ぼくもずっと 待ってたんだっけ ・・・
心の奥が きゅ・・・っと傷む。
「 まずね 手始めに にゃんさん達の食器 洗ってくれますか
」
「 は はい! 」
「 厨房はこっちです。 あ ゴム手袋、使ってね、素手でやったらすぐに
皮膚が荒れてしまうから 」
「 あ はい。 食器は ― ぼくが集めましょうか? 」
「 ああ 今日はいいです、私がやりますから。
あの ・・ 単調なこと、お願いしてごめんなさいね 」
「 え〜〜〜 どうしてですか?? ご飯の後は誰だって食器、洗いますよ〜
清潔な食器でご飯 たべたいですよね えへ ぼく、結構得意なんです〜 」
「 ありがとう おねがいしますね 」
「 はいっ 」
ジョーは 必殺の?笑顔で 洗い場にたった。
十数分後 ・・・
― ジャ〜〜〜〜 ・・・・ きゅ。
「 ・・・っと これで完了 かな〜〜〜 あ タナカさん、これでいいですか〜 」
「 えええ・・・ もう終わったの? 」
「 はい みんな 同じ形態なんで楽でした 」
「 そりゃ ・・・・ わあ ほんとうにぴかぴかだわ〜〜〜 」
「 あ 追加あります? 」
「 いえこれで全部よ、 ありがとう〜〜〜〜 」
「 ぼく、洗いモノ、好きなんですよ〜〜 えっと 次はなにを 」
「 お疲れさま ちょっと休憩してね? お菓子 食べてね 」
「 え あ〜〜 ありがとうございます。 ここに座ってもいいですか? 」
「 どうぞ。 猫ちゃんの遊びスペースなのよ、皆お昼寝してるから大丈夫。 」
「 あ〜 そうですか。 あ これ 遊び道具なのか 」
ジョーはビスケットを齧りつつ羽根でできた < 猫じゃらし > で遊びだした。
ほどなくして ―
んみゃ〜〜〜 み? にゃにゃ〜〜〜 にゃあ〜〜〜
足音もなく! 茶色のやら 白いのやら 黒白やら 茶縞やら ・・・
猫さんたちがジョーの周りにやってきた。
「 うお? わ〜〜〜 みんな来たね〜〜 あ 可愛いなあ〜 お前・・・
わはは 背中に登るかい? いいよ〜〜 うひゃあ くすぐったい〜〜 」
わらわら寄ってきた 大小 老若 さまざま〜〜な猫さん達は ジョーの周りを
すりすり〜してくんくん匂いを嗅ぎ 彼の身体の登ったり 脚の間に無理やり入りこんだり。
「 うひゃあ〜〜 ああ あったかいね〜〜 きみたち 」
にゃにゃ ・・・ みゃみゃ ・・・ うにゃあ ・・・
トレーナーのフードの中に潜ったり 抱き上げてもらったコはごろごろ盛大に咽喉を
鳴らし始めた。
「 ふふふ ・・・ ぼくもとってもいい気持ちだよ。 ふふふ 」
ジョーは 生きてる毛皮の中でほっこり気分だ。
「 あ シマムラく〜〜ん もう一つ おねがいがあるんですけど 」
「 はい タナカさん 」
「 あのね うわ??? 」
タナカさんは 一瞬立ちすくんだ。
初顔のボランティア君は なんとたっくさんの猫さん達の中に埋もれていた・・・
「 だ 大丈夫? 」
「 は〜い へへ・・ 温かくて気持ちいいですねえ 〜〜
あ ! 抱っこしたりしたらいけなかったですか?? 」
「 いえ 彼らが勝手に出てきたのだし構わないけど ― 重くない? 」
「 い〜え は〜〜 なんか幸せだなあ 〜 」
「 君、 猫とか飼ってるの? 」
「 いいえ? 犬も猫も好きですけど ・・・ 」
「 そうなんだ? あの〜〜 いい気分の時に悪いんだけど、頼んでいいかな 」
「 はい 勿論。 なんでしょう 」
「 あのねえ ・・・・ ごめん、猫さん達のトイレ砂を換えてやってくれる?
あ 臭わないから大丈夫。 固まってる砂を専用シャベルで取って新しいのを
補充して欲しいのよ。 」
「 はい! さ〜〜 君達〜〜 ちょっとゴメンね〜〜 」
彼は へばりついている猫さん達を上手に引き剥がした。
「 モテモテね〜〜 島村くん! お家に猫さんでもいるのかしら? 」
「 え ・・・ いないです。 ず〜〜〜っと前 わんこ と一緒にいたことは
ありますけど ・・・ 」
「 そう? なんか猫さんを呼び寄せるオーラがあるのかもよ?
仔猫だけじゃなくて 老猫さん達もいたもの。
」
「 そうなんですか? みんな ほわほわでカワイイなあ〜〜〜 って・・・
猫に埋もれるなんて 最高です ぼく。 」
「 ふ〜〜ん もしかして前世は 猫だったのかもね?
きっと 茶白のイケメンにゃんこ だったのじゃない ? 」
「 え〜〜〜 ぼく きっと、ごまだらの野良ネコだったんですよ 」
「 ・・・ なんでそう思うの 」
「 え 別に・・ あ トイレ掃除しますね〜〜 」
「 え ええ おねがいします。 補充する猫砂はこっち ・・・
結構重量があるから気をつけてね 」
「 はい。 お〜〜い 茶トラくん、 掃除するよ〜〜 」
ジョーは 嬉々として猫たちのケージの前に立った。
「 よ〜〜し。 これで完了っと。 捨てるヤツはこっちの袋 っと。
あ ホントに全然臭わないな〜〜 猫さん達な清潔好きだし・・・
ふふん ニンゲンの方がよほど不潔だよ うん 」
しばらくして ― ジョーは 廃棄用の袋を持ち、戻ってきた。
「 タナカさ〜〜ん トイレ掃除 終わりました 」
「 わ? もう?? ・・・ 島村クン、ほんとに仕事、早いわねえ 」
「 そうですか? 猫砂 ってとても清潔ですねえ 匂いもないし 」
「 でしょ? ちゃんと世話をすれば 動物たちは決して臭ったりしないわ。 」
「 ですよね〜〜 へへ ぼく、 わんこの匂い も にゃんこの匂い も
好きですけど ・・・ 」
「 ふふふ ・・・ 君は動物に好かれる要素 もりもりなのね。 」
「 そうですかね? あ ぼくは 動物、好きですけど・・・ 鳥も。
さあ 次はなにしますか? 掃除? 」
タナカさんは しばらくとて〜〜も温かい眼差しでジョーを見ていた。
「 そうねえ ・・・ 島村クン、見かけによらず力持ちっぽいから
次はわんちゃん達をお願いしようかしら 」
「 はいっ!!! 」
「 この辺りの地理、わかります? 」
「 だいたい ・・・ 」
「 そこの川沿いにゆくと大きな公園があります。
リードを外さなければ わんちゃん達もオッケーなの。 」
「 はい! わはは〜〜〜ん わんこの散歩なんて 久し振り〜〜〜 」
ジョーの方が 大喜びで犬舎の方に跳んでいった。
わわん わん くぅ〜〜〜ん ・・・ きゃん!
わんこ達は にゃんこ達より賑やかだった。
「 お〜〜い わんこクンたち〜〜 ヨロシクな〜〜 ジョーっていうんだ 」
彼は わんこ達の間を歩きまわり話しかけたり ちょいちょい・・・と撫ぜたりした。
「 ご飯は終わったね? トイレもキレイっと。
じゃあ 今日はね ぼくが散歩担当だからね〜〜〜 」
手にもってきたリードを 彼らに見せた。
「 さあ 散歩 ゆくぞ〜〜〜〜 」
わんわんわん わん〜〜〜 きゃうん きゃん きゃん 〜〜 」
大騒ぎになり 彼にむかって前後左右から犬たちが飛び付いてきた。
「 お〜〜っと順番 順番。 タナカさんのメモのよると〜 えっと最初は
・・・ 太郎と花子から か。 ちゃんと決まっているんだな〜
たろ〜〜〜 はなこ〜〜〜 おいで 」
どの犬のなのか よくわからなかったが、ジョーが呼ぶと
わんっ!! わわんっ !
茶柴 と 黒っぽい中型犬 が どどどっと寄ってきた。
「 あ〜〜 キミが たろう? よろしく! アナタが 花子さん?
おねがいします。 」
ジョーは首輪の名前を確かめ、 リード付きの胴着を着せた。
使い慣れているのか 二匹ともすんなりと着てくれた。
「 これでよし。 さあ 出発〜〜 他の皆も順番に行くからね〜〜
待ってくれよな 」
わんわん〜〜〜〜 くぅ〜〜〜〜〜ん ・・・!
え〜〜〜 ワタシも〜〜 ボクも〜〜〜 いっちゃうのぉ〜〜 な視線に
追われ ジョーは太郎くんと花子さんをつれて表にでた。
「 さあ 出発。 さあて どっちから行くかい ? 」
茶芝の太郎くんに尋ねると わん? 彼は 花子さんの顔を見た。
「 あ ごめん。 花子さんの方が先輩なんだね?
花子さん どっちから行きますか? 」
「 ・・・・ くん ・・! 」
黒っぽい癖毛の 花子さん は ちろっとジョーの顔を見てから 太郎クンを見て
くい・・・っとリードの綱を引いて歩き始めた。
「 あ こっちからですか。 はい 了解。 太郎? ゆくよ 」
「 わんっ! 」
太郎は盛大に尻尾を振り ジョーの横にぴたり、とついて歩き始めた。
ひゅるるる〜〜〜〜 ・・・・
乾いた風が一人と二匹の側を吹き抜けてゆく。
「 ひゃあ ・・・ やっぱ川沿いって寒いなあ ・・・
太郎くん? 花子さん、 大丈夫かな〜〜 」
「 わん? 」 「 ! 」
先をゆく花子は ちらっと振り返ったがすぐにそのまま歩いてゆく。
太郎は ジョーの脚にすりよってきた。
「 う〜ん やっぱ寒いよなあ よし それじゃ 花子さ〜ん
そして 太郎くん。 公園まで加速そ〜ち・・・ じゃなくて
駆け足〜〜〜〜 行くぞっ 」
ジョーが ぱっと駆けだすと ― わんわんわん〜〜〜 うぉん !!
二匹は嬉々として走りだした。
「 う っは〜〜〜〜〜 ・・・・ ! ああ よく走ったね〜〜〜 」
公園につくと ジョーは脚を緩め二匹をつれてベンチに座った。
「 あ 咽喉 乾いたかい? ちゃ〜〜んと水 もってきたからね〜 」
彼はリュックからペット・ボトルと犬用の食器を取りだした。
「 〜〜〜〜ん ほら どうぞ? えっと 花子さんから ? 」
「 うぉん! 」 「 わんっ 」
花子は ちゃんと太郎を誘い、二人は仲良くならんで水飲み容器に鼻先をつっこんだ。
「 お〜〜〜 よく飲むなあ ほら ちょっと足すね〜 」
とぽぽぽ・・・・ 水を継ぎ足すと二人はごくごくおいしそうに飲んだ。
「 美味しかった? よ〜〜く走ったもんなあ 」
くうん 〜〜 きゅん ・・・
太郎も花子も ジョーの膝に顎を乗せたりもたれかかったりしてきた。
「 わは♪ かっわいい〜〜〜 ねえ こんなモンももってきたんだぞ〜〜 」
彼はリュックの底から ブラシ を取りだした。
「 ほら こっち向いて? まずは 花子さんから〜〜 」
「 うわんっ 」
しゅ しゅ しゅ しゅ しゅ〜〜〜〜〜
ジョーは並んで背を向けている犬たちにブラッシングをし続けた。
「 わあ〜〜 毛並、光ってるよ? 綺麗だねえ〜〜 花子さん ・・・
わお〜〜 太郎クン、ますますイケメンだよぉ〜〜 」
ジョー自身、冬の陽射しをたっぷり楽しみ ご機嫌ちゃんで帰ってきた。
「 ただいま〜〜〜 わお?? 」
わん わん わん わん〜〜〜
犬舎のドアを開けると < 次はぼく! > < アタシの番! > と
わんこさん達が押し寄せてきた。
ジョーは慌ててメモをとり出す。
「 わ〜〜〜 お待たせしてごめんね〜〜〜 次は えっと・・・ ジョンと
メリー? あ モモ も一緒で大丈夫 か。
よ〜〜し ジョンくん メリーさん モモさん ゆくよ〜〜 」
わおんわおん きゃんきゃん きゃう〜〜〜ん
「 よしよし ・・・・あ ちょっと水を補充してくるからね〜 」
数分後 彼はまたまた犬たちと元気よく駆けだしていった。
― そろそろ夕闇が迫るころ。
「 ― ただいまです〜〜 あ 晩ご飯の時間に間に会いましたか? 」
「 うわん! 」 「 わわんっ 」
散歩隊最後のわんこ達とジョーは シェルターに戻ってきた。
「 わあ お帰りなさい〜〜 お疲れさまでした 島村クン・・・
大変だったでしょう ? 」
「 いやあ〜〜 ちょ〜〜〜楽しかったですよぉ〜〜〜〜
えへ ぼく わんさん達と思いっ切り走っちゃった ・・・ 」
「 ありがとう!!! 犬たちもとっても満足しているわ。
晩ご飯 い〜〜っぱい 食べるでしょうね 」
「 あ・・・ マズかったですか? すいません ・・・ 」
「 いやだ〜〜 そんなことじゃないよ。 猫さん達と違ってね〜
犬たちはやっぱりたくさん運動したいのよね だから本当にありがとう! 」
「 えへへ・・・ よかったあ〜〜
あ 晩ご飯の準備とか手伝えること ありますか? 」
「 ああ もう十分よ、こんな時間になっちゃってごめんなさい。
島村くんもお腹 すいたでしょう? 本当にご苦労様 」
「 え まだ平気ですよ。 あ・・・ 邪魔じゃなかったら ぼく・・・
もう一回 猫さん達に会ってから帰りたいんですけど 」
「 どうぞ どうぞ〜〜 」
「 あ 犬の匂いで イヤかなあ? 」
「 ウチの子たちは大丈夫。 島村クン 本当に動物好きなのねえ 」
「 はいっ ぼく ・・・ コドモの頃 施設で育ってて ・・・
野良ネコとかが友達だったんで ・・・ 」
「 まあ そうなの ・・・ 」
「 じゃ 猫さん達と遊んできますね〜 タナカさん、仕事忙しそうですね
ぼく 勝手に帰りますから気にしないでくださいね 」
「 ごめんなさい、 なんか気を使わせちゃったわね 」
「 いえいえ〜〜 ぼく ・・・ 今日はとっても嬉しかったです 」
「 嬉しい・・? 」
「 はい。 ぼくでも こんなに必要としてくれるんだって思って。
ああ ここに来てよかったです〜 」
「 ありがとう! あの・・ もしできれば ・・・ また来てくれますか ? 」
「 はい!! 喜んで〜 ああ ジョン〜〜〜 また遊ぼうな〜〜 」
わおんっ! ジョーと かなりマジで < 徒競走 > したシェパードくんが
わさわさ〜〜〜 尻尾を振り犬舎の中で跳ねていた。
「 ただいま〜〜〜 」
ギルモア邸の玄関チャイムを押した時は 冬の陽はとっぷりと暮れていた。
「 お帰りなさい ! お疲れさま ジョー 」
ドアが開くと フランソワーズが満面の笑みで迎えてくれた。
「 遅くなってごめん 〜〜 つい その ・・・ 楽しくて ・・・ 」
「 うふふ・・・ そんなことだろうと思ったわ。 晩御飯 熱々よ〜〜 」
「 わお〜〜 お腹 ぺこぺこなんだ 」
「 ふふ・・・ 手を洗ってきてね 」
「 は〜〜い 」
ジョーはぱたぱたバス・ルームに駆けてゆき すぐにキッチンにやってきた。
「 はい 熱々のシチュウよ〜 」
「 わお〜〜♪ いっただっきまあ〜〜す 」
「 はい どうぞ召しあがれ。 あ ねえ 猫さんやわんこさんと仲良くなれた? 」
「 うん!! あの ・・・ さ。 また 行ってもいいかな・・・
その〜〜 ボランティア ・・・ あ ウチの掃除もちゃんとやるから 」
「 勿論よ〜〜 あ そのシェルターのお掃除用にウチの < 万能るんば >
お貸ししましょうか ? 」
「 あ ・・・ 掃除機って 猫さん達は苦手みたいだよ? 」
「 まあ そうなの? じゃあ お掃除はどうしているの? 」
「 普通に箒で掃いてるみたいだよ。 あの さ ・・・ あの〜〜 」
「 ふふ ・・・ 定期的にボランティアに行きたい でしょ? 」
「 わ〜〜〜 すげ〜〜 どうしてわかった? 」
「 うふふ ・・・ だってね、 ジョー、と〜〜〜っても嬉しそうな顔で
帰ってきたから。 ウチの掃除は大丈夫よ。 安心して。
餅つき大会 も アルベルトが頑張っているし 」
「 そうかな それなら ・・・ ぼく、できるだけシェルターの手伝いしたくて。
出来れば ・・・ ワンさんやにゃんさん達を引き取りたいんだけど・・・ 」
「 ・・・ ジョー それは 」
「 ウン わかってる。 ぼく達は いつ ・・・ ここから < 消える >
かもしれないもの。 責任をもてないものな 」
「 ・・・ そう ね。 」
「 だから できるだけのこと、したいんだ。 」
「 どうぞ手伝ってあげて? ワンさんやにゃんさんの相手をしてあげてね 」
「 ありがと〜〜 フラン〜〜 」
「 ワンさん達を幸せにしてあげてね 」
「 ふふ ・・・ ぼくの方がシアワセにしてもらっちゃったよ。
あのさ い〜〜〜っぱいにゃんさん達がいてね、 ぼく、埋まっちゃったさ 」
「 埋まる?? にゃんさんに? 」
「 そ! 皆 にゃあ〜〜って寄ってきてさ 」
「 まあ 可愛いわねえ 里親さんがみつかるといいわね 」
「 うん。 ― あのコたち ず〜〜〜っと待ってるんだもの ・・・
チビの頃のぼくと同じなんだ 」
「 ジョー ・・・ 」
きゅ。 フランソワーズの白い手が彼の手をしっかりと握った。
「 ・・・ フラン ・・・ 」
ピンポン ― 玄関チャイムが鳴った
「 あ ・・・ きっとジェロニモ Jr. だわ 」
「 え ? 彼、 まだ帰ってなかったんだ? 」
「 そうなのよ〜 もうね 門松作りで大変みたいよ 」
「 え〜〜 そうなんだ? 」
「 植木屋のご主人、 とても喜んでくれて いろいろ教えてくれるんですって。
お帰りなさ〜〜い 」
フランソワーズは 玄関に駆けて行った。
「 ― ただいま。 」
「 お帰り〜〜〜 ジェロニモ Jr. お疲れ様〜〜 」
「 むう。 今日は 石灯籠 運んだ。 」
「 ええ?? だって門松作りの手伝いだろ ? 」
「 うむ。 その門松、運んだ家で頼まれた。 」
「 ひええ〜〜 そりゃ君じゃなくちゃできないよなあ 」
「 ふふ 重そうな顔、して運んだ。 」
「 あは そうだよねえ 」
「 植木屋、人手不足で忙しい。 俺 できるだけ手伝う。 」
「 そっか〜〜 がんばれ〜 」
「 うむ。 ジョーは? 」
「 ぼく? うん、 ぼくも頑張る! わんさんや猫さんのために 」
「 むう? 動物、愛するのはいいことだ。 」
「 だよね〜〜 勿論 ウチの餅つき大会は手伝いよ 」
「 俺もだ。 」
「 ふふふ ・・・ 餅つきでは、チカラ 抜いてね? 」
フランソワーズが熱々のシチュウを運んできて 付け加えた。
「 ああ。 」
「 今年は 楽しい歳末になるね〜〜 」
「 ああ。 」
「 勿論よ。 楽しみだわあ 」
慌ただしい年末 ― ギルモア邸は ほっこりした空気が満ちていた。
Last updated : 12,26,2017.
back / index / next
********** またまた途中ですが
わ〜〜〜〜ん 今年の間に終わらせようと思っていたのですが・・・・
すいません、年越しです〜〜〜 (;´Д`) <m(__)m>
シェルターは 個人的に応援している所をモデルにしました☆